野生動物による農作物被害を防ぐために
まず被害の原因となる獣を知る
足跡やフンなどから自分の畑・田圃に侵入している動物をきちんと見分ける
野生動物を引き寄せない環境をつくる
- 収穫しない果樹は伐採する
- 落下した果実をそのまま放置しない
- 収穫後は耕起し、穂(ひこばえ)などを放置しない
- ニンジンや大根などは葉ごと収穫し、その場に放置しない
- 台所から出た生ごみを畑に捨てない
- 出荷規格外の収穫物を畑に放置しない
- サルなどにエサを与えない
- 休耕圃にイノシシの餌となる「クズ」が繁茂しないようにする
被害防止対策の事例(アライグマ編)
近年、ペットとして国内に持ち込まれたアライグマが、無責任な飼い主により山林に放たれ、野生化しはじめ、北海道、岐阜、神奈川、愛知、和歌山、京都など計40都道府県で生息が確認されている。
- 被害の様子
- ・雑食性のため、農作物では果樹・野菜問わず害する
・養殖場や池の魚が食害される
・屋根裏にすみつき、糞尿による被害が発生するほか、生ゴミも荒らす
・アライグマ回虫症は人畜共通の感染症で、ペットへの感染が心配される
- 被害対策
- ・繁殖力が強いため、定着・増加前の捕獲が効果的(繁殖時期は春に3〜6頭産子)
・捕獲の方法は、夜行性のため、銃器での捕獲は困難なためワナ(箱ワナ)での捕獲が有効
・魚の被害対策は池の上面を目の細かい丈夫なネットで覆う
・かわいいからといって決して餌を与えてはいけない
・夜行性のため、ゴミの朝出しを徹底する
・屋外に犬や猫の餌を放置しない
被害防止対策の事例(イノシシ編)
イノシシによる農業被害には各地でも対策が講じられているところだが、イノシシの運動能力に関する情報が不足していること等から、効果が期待できない技術を利用する事例も見受けられる。
- 被害対策
- ・成獣で120〜、幼獣で60〜程度の跳躍能力があるので、それ以上の長さのトタンやワイヤーメッシュ柵などで圃場を囲う
・トタンやワイヤーメッシュなどで圃場を囲う場合は、イノシシがもつ鼻の押し上げ力を考慮し、強固に固定する
・20〜程度の高さまでのくぐり抜けが可能な為、電気柵などで圃場を囲う場合は、電柵下の隙間を20〜以下にする
被害防止対策の事例(ツキノワグマ編)
- 被害の特徴
- 食物への執着が強く、徹底して食べるので被害は集中しやすい。圃場では座り込んで周囲の作物を食べつくす
- 被害対策
- ・電気柵による効果が有効。被害発生1〜1.5ヵ月前から設置する
・母グマが加害個体になると、その子供も農作物の味を覚え、執着するので、加害個体が世代を通じて増えることがないよう、初期の対応が重要
被害防止対策の事例(サル編)
- 被害の特徴
- ・山林に十分な食べ物がなくなる冬には、相対的に「里」の利用価値があがり、冬に栽培している農作物の量も決して多くないことから、未収穫物の野菜や生ゴミを食べる。未収穫物の野菜や生ゴミを食べられても、熱心にサルを追い払う人は少ないであろうが、冬に栄養価の高い食べ物を食べることで、生存率や繁殖率が向上し、サルの個体数が増える原因となるので、畑から未収穫物や生ゴミなどサルが食べられる物を除去し、サルを見かけたら追い払いを必ず行う。
- 被害対策
- ・電気柵を設置するにあたっては、サルの毛に覆われた部分は通電しにくいため、足裏、鼻先、手のひらなどの感電しやすい部分が、プラス線と地面(マイナス線)の両方に同時に触れるように配慮して設置する必要がある。(京都大学霊長類研究所が開発した新型サル用電気ネット柵は、従来型のネット柵とは異なり、確実に電気ショックを与えられる構造になっている)
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